《吾輩は猫である》第39章


「そこがさ、世の中は妙なもので、自分の好いている人の悪口などは殊更(ことさら)云って見る事もあるからね」
「そんな愚(ぐ)な奴がどこの国にいるものか」と主人は斯様(かよう)な人情の機微に立ち入った事を云われても頓(とん)と感じがない。
「その愚な奴が随分世の中にゃあるから仕方がない。現に金田の妻君もそう解釈しているのさ。戸惑(とまど)いをした糸瓜(へちま)のようだなんて、時々寒月さんの悪口を云いますから、よっぽど心の中(うち)では思ってるに相摺ⅳ辘蓼护螭取?br />
主人はこの不可思議な解釈を聞いて、あまり思い掛けないものだから、眼を丸くして、返答もせず、鈴木君の顔を、大道易者(だいどうえきしゃ)のように眤(じっ)と見つめている。鈴木君はこいつ、この様子では、ことによるとやり損なうなと疳(かん)づいたと見えて、主人にも判断の出来そうな方面へと話頭を移す。
「君考えても分るじゃないか、あれだけの財産があってあれだけの器量なら、どこへだって相応の家(うち)へやれるだろうじゃないか。寒月だってえらいかも知れんが身分から云や――いや身分と云っちゃ失礼かも知れない。――財産と云う点から云や、まあ、だれが見たって釣り合わんのだからね。それを僕がわざわざ出張するくらい両親が気を揉(も)んでるのは本人が寒月君に意があるからの事じゃあないか」と鈴木君はなかなかうまい理窟をつけて説明を与える。今度は主人にも迹盲隼搐郡椁筏い韦扦瑜Δ浃残膜筏郡ⅳ长螭胜趣长恧摔蓼搐蓼搐筏皮い毪趣蓼繀群埃à趣盲螅─騿肖ξj摛ⅳ毪椤⒃绀挙筏螝iを進めて、一刻も早く使命を完(まっと)うする方が万全の策と心付いた。
「それでね。今云う通りの訳であるから、先方で云うには何も金銭や財産はいらんからその代り当人に附属した資格が欲しい――資格と云うと、まあ肩書だね、――博士になったらやってもいいなんて威張ってる次第じゃない――铡猡筏沥悚い蟆¥护螭坤盲萍毦卫搐繒rは迷亭君がいて妙な事ばかり云うものだから――いえ君が悪いのじゃない。細君も君の事を御世辞のない正直ないい方(かた)だと賞(ほ)めていたよ。全く迷亭君がわるかったんだろう。――それでさ本人が博士にでもなってくれれば先方でも世間へ対して肩身が広い、面目(めんぼく)があると云うんだがね、どうだろう、近々(きんきん)の内水島君は博士論文でも呈出して、博士の学位を受けるような撙婴摔闲肖蓼い¥胜ⅳ栓D―金田だけなら博士も学士もいらんのさ、ただ世間と云う者があるとね、そう手軽にも行かんからな」
こう云われて見ると、先方で博士を請求するのも、あながち無理でもないように思われて来る。無理ではないように思われて来れば、鈴木君の依頼通りにしてやりたくなる。主人を活(い)かすのも殺すのも鈴木君の意のままである。なるほど主人は単純で正直な男だ。
「それじゃ、今度寒月が来たら、博士論文をかくように僕から勧めて見よう。しかし当人が金田の娘を貰うつもりかどうだか、それからまず問い正(ただ)して見なくちゃいかんからな」
「問い正すなんて、君そんな角張(かどば)った事をして物が纏(まと)まるものじゃない。やっぱり普通の談話の際にそれとなく気を引いて見るのが一番近道だよ」
「気を引いて見る?」
「うん、気を引くと云うと語弊があるかも知れん。――なに気を引かんでもね。話しをしていると自然分るもんだよ」
「君にゃ分るかも知れんが、僕にゃ判然と聞かん事は分らん」
「分らなけりゃ、まあ好いさ。しかし迷亭君見たように余計な茶々を入れて打(ぶ)ち壊(こ)わすのは善くないと思う。仮令(たとい)勧めないまでも、こんな事は本人の随意にすべきはずのものだからね。今度寒月君が来たらなるべくどうか邪魔をしないようにしてくれ給え。――いえ君の事じゃない、あの迷亭君の事さ。あの男の口にかかると到底助かりっこないんだから」と主人の代理に迷亭の悪口をきいていると、噂(うわさ)をすれば陰の喩(たとえ)に洩(も)れず迷亭先生例のごとく勝手口から飄然(ひょうぜん)と春風(しゅんぷう)に仱袱莆瑜まzんで来る。
「いや淇亭坤汀Wのような狎客(こうかく)になると苦沙弥(くしゃみ)はとかく粗略にしたがっていかん。何でも苦沙弥のうちへは十年に一遍くらいくるに限る。この菓子はいつもより上等じゃないか」と藤村(ふじむら)の羊羹(ようかん)を無雑作(むぞうさ)に睿垼à郅校─搿b從揪悉猡袱猡袱筏皮い搿V魅摔悉摔浃摔浃筏皮い搿C酝い峡冥颏猡猡丹筏皮い搿N彷叅悉长嗡矔rの光景を椽側(えんがわ)から拝見して無言劇と云うものは優に成立し得ると思った。禅家(ぜんけ)で無言の問答をやるのが以心伝心であるなら、この無言の芝居も明かに以心伝心の幕である。すこぶる短かいけれどもすこぶる鋭どい幕である。
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四 … 9
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「君は一生旅烏(たびがらす)かと思ってたら、いつの間(ま)にか舞い戻ったね。長生(ながいき)はしたいもんだな。どんな僥倖(ぎょうこう)に廻(めぐ)り合わんとも限らんからね」と迷亭は鈴木君に対しても主人に対するごとく毫(ごう)も遠懀Г仍皮κ陇蛑椁獭¥い俗源钉沃匍gでも十年も逢わなければ、何となく気のおけるものだが迷亭君に限って、そんな素振(そぶり)も見えぬのは、えらいのだか馬鹿なのかちょっと見当がつかぬ。
「可哀そうに、そんなに馬鹿にしたものでもない」と鈴木君は当らず障(さわ)らずの返事はしたが、何となく落ちつきかねて、例の金鎖を神経的にいじっている。
「君電気鉄道へ仱盲郡工戎魅摔贤蝗烩從揪藢潳筏破鎲枻虬kする。
「今日は諸君からひやかされに来たようなものだ。なんぼ田舎者だって――これでも街鉄(がいてつ)を六十株持ってるよ」
「そりゃ馬鹿に出来ないな。僕は八百八十八株半持っていたが、惜しい事に大方(おおかた)虫が喰ってしまって、今じゃ半株ばかりしかない。もう少し早く君が枺─爻訾皮欷小⒊妞螁肖铯胜い趣长恧蚴辘肖辘浃毪趣长恧坤盲郡Г筏な陇颏筏俊?br />
「相変らず口が悪るい。しかし冗談は冗談として、ああ云う株は持ってて損はないよ、年々(ねんねん)高くなるばかりだから」
「そうだ仮令(たとい)半株だって千年も持ってるうちにゃ偅膜椁そà膜椁省>鈨Wもその辺にぬかりはない当世の才子だが、そこへ行くと苦沙弥などは憐れなものだ。株と云えば大根の兄弟分くらいに考えているんだから」とまた羊羹(ようかん)をつまんで主人の方を見ると、主人も迷亭の食(く)い気(け)が伝染して自(おの)ずから菓子皿の方へ手が出る。世の中では万事積極的のものが人から真似らるる権利を有している。
「株などはどうでも構わんが、僕は曾呂崎(そろさき)に一度でいいから電車へ仱椁筏皮浃辘郡盲俊工戎魅摔蠁肖で筏堡垦蚋螝n痕(はあと)を撫然(ぶぜん)として眺める。
「曾呂崎が電車へ仱盲郡椤るたんびに品川まで行ってしまうは、それよりやっぱり天然居士(てんねんこじ)で沢庵石(たくあんいし)へ彫(ほ)り付けられてる方が無事でいい」
「曾呂崎と云えば死んだそうだな。気の毒だねえ、いい頭の男だったが惜しい事をした」と鈴木君が云うと、迷亭は直(ただ)ちに引き受けて
「頭は善かったが、飯を焚(た)く事は一番下手だったぜ。曾呂崎の当番の時には、僕あいつでも外出をして蕎麦(そば)で凌(しの)いでいた」
「ほんとに曾呂崎の焚いた飯は焦(こ)げくさくって心(しん)があって僕も弱った。?
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