「だれかきてくださぁcy仮面です!」
たまげるような文彦の声。金田一耕助はそれを聞くと、イナゴのように草むらからとびだし文彦のほうへいっさんにかけていったが、するとそのとき、むこうのスギの木かげから、パッととびだしてきたのは銀仮面。
銀仮面は耕助のすがたを見ると、クルリと身をひるがえし、左手の丘をかけのぼっていく。
しめた、その丘の上には、等々力警部が見張りをしているはずなのだ。
「警部さん、警部さん、銀仮面がそっちへ逃げましたぞ!」
金田一耕助も丘の小道へかかったが、そこへやってきたのは文彦である。
「あ、金田一先生!」
「おお、文彦くん、きみもきたまえ!」
ふたりが丘を半分ほどのぼったときだった。丘の上からピストルをうちあう音。金田一耕助と文彦は、ギョッとして顔を見合わせたが、すぐまた、すばやく坂をかけのぼった。
「吉井くん、村上くん、銀仮面がそっちへいくぞ!」
丘の上から等々力警部の声。吉井、村上というのは見張りの刑事なのだ。金田一耕助と文彦はその声をたよりに、曲がりくねった坂道をのぼっていったが、ふいに文彦が、なにかにすべってよろけてしまった。
「文彦くん、どうした、どうした?」
文彦は懐中電燈で足元を照らして見て、
「アッ、先生、こんなところに血が……」
見れば道の上にべっとりと、血がこぼれているのだ。金田一耕助と文彦は、おもわず顔を見合わせた。
「先生、銀仮面はけがをしたのですね」
「そうらしい、警部のたまがあたったのだろう。この血のあとを伝っていこう」
しかし、そこはひざもうまるほどの草むらなので、血のあとはすぐに見えなくなってしまった。その広い草むらには、あっちに二本、こっちに三本と、スギの大木がまもののように、暗い夜空にそびえている。
ふたりがその草むらをわけていくと、またピストルをうちあう音。ふたりが顔をあげて見ると銀仮面が草をわけてよろよろと、こっちのほうへやってきた。そしてその三方からじりじりとせまってくるのは、等々力警部にふたりの刑事。金田一耕助もそれを見ると、警部にかりたピストルをとりだした。
ああ、もうこうなれば銀仮面は、袋のなかのネズミもおなじことである。
銀仮面はそれでもまだ、降参しようとはせず、あちらのスギ、こちらのスギと、たくみに身をさけながら、逃げられるだけ、逃げようとするようだ。それをとりまく五人の輪は、銀仮面を中心に、しだいにせばめられていった。
と、ふいに身をひるがえした銀仮面は、また一本のスギの木かげにかくれた。そのスギの木というのは、地上三メ去毪郅嗓胃撙丹乔肖椁欷壳肖曛辘坤⑻丹趣い盲郡椤⒍ㄒ陨悉猡ⅳ恧Δ趣いΔ筏恧猡危郏!袱筏恧猡巍工税悖荬扦ⅳ搿?br /> 五秒――十秒――、銀仮面は切り株のかげにかくれたまますがたを見せない。その切り株をとりまいて、四方からじりじりとせまっていくのは警部や刑事や金田一耕助。とうとう一同は、ほとんど同時に、切り株のそばへたどりついたが、そのとたん、キツネにつままれたように顔を見合わせた。
ああ、なんということだろう。銀仮面のすがたはどこにも見えなくなっていたのだった。
窓にうつる影
「そんなはずはない。そんなばかなことはない。あいつだって血と肉でできた人間なんです。煙のように消えるなんて、そんなばかな……!」
一同があっけにとられてポカンとしているとき、そう叫んだのは金田一耕助である。怒りにみちた声だった。
「どこかにかくれているんです。さがしましょう。もっとよくさがすんです」
しかし、いったいどこをさがせばいいのか。五人の人間が五人とも銀仮面がこの切り株の陰へはいるところを見たのである。しかもだれひとり、そこから出るところを見た者はいない。銀仮面はこの切り株のなかへ吸いこまれたのだろうか。
そうだ。銀仮面は切り株のなかへ吸いこまれたのだ。それを発見したのは文彦だった。
「アッ、先生、この切り株はうつろですよ。そして、こんなところに血が……!」
「な、なんだって!」
一同がびっくりしてふりかえると、文彦は懐中電燈で、切り株の幹を照らしていた。
その切り株というのは、しめ縄が張ってあり、一面にツタの葉でおおわれているのだが、|縦《たて》にひとすじさけ目があって、そのさけ目にべっとりと血がついている。まるで、そこからけが人が、なかへ吸いこまれていったように……。
金田一耕助がびっくりして、切り株をたたいてみると、はたしてポンポンとつづみのような音がした。等々力警部はツタの葉をかきわけて、切り株のはだをなでていたが、
「ああ、ここにちょうつがい[#「ちょうつがい」に傍点]がある!」
なるほど、縦にならんだちょうつがい[#「ちょうつがい」に傍点]をたくみにツタの葉でかくしてあるのだ。
「わかった、わかった、警部さん、この切り株はうつろになっていて、木の皮がドアになっているのです。どこかにとって[#「とって」に傍点]は……?」
そのとって[#「とって」に傍点]もすぐに見つかった。切り株の幹の、地上一メ去毪肖辘韦趣长恧恕⒋螭胜长证ⅳ盲郡ⅳ饯欷颏摔盲屏Δ蓼护摔窑盲绚毪取⒛兢纹い丧ⅳ韦瑜Δ衰靴氓辘窑椁い啤ⅳ胜楗单盲取⒗浃郡わLが吹きあげてきた。
のぞいて見ると、なかはうつろになっているばかりではなく、地の底にむかって、まっ暗な縦穴がついているのだ。一同はおもわず顔を見合わせた。
「わかりました、警部さん。こういう秘密の抜け穴があるからこそ、あいつは今夜の会見を、井の頭と指定してきたんです。さあ、ひとつなかへもぐってみましょう」
金田一耕助は、はかまのすそをたくしあげると、ピストル片手に、いちばんにその穴へもぐりこんだ。それにつづいて等々力警部、文彦、それからふたりの刑事がつぎつぎと、縦穴へもぐりこむ。
その穴はやっと人ひとり、もぐれるほどの広さしかなかったが、それでもちゃんと、鉄のはしごがついていた。その鉄ばしごをおりていくと、ふかさは思ったほどもなく、間もなく横穴にぶつかった。
その横穴をはいっていきながら、文彦は、成城の大野老人の家にも、これとおなじような抜け穴のあったことを思いだし、なんともいえぬほど、ふしぎな感じをいだいた。
先頭をはっていく金田一耕助は、片手にピストル、片手に懐中電燈をかざしながら、
「警部さん、銀仮面はたしかにこの抜け穴を伝って逃げたにちがいありませんよ。点々として血がつづいています」
その抜け穴をはっていくこと三百メ去毪ⅳ蓼辍㈤gもなくゆく手がほんのり明るくなってきた。どうやら穴のいっぽうの入り口へ、近づいてきたらしい。
「みなさんはここに待っていてください。ぼく、ちょっとようすを見てきます」
金田一耕助は懐中電燈をたもとへしまい、ピストル片手に、入り口まではっていったが、そこはがけの中腹になっており、がけの下にはりっぱな洋館がたっている。そして、洋館の二階の窓の一つには、あかあかと電燈の光がさしているのだが、金田一耕助が穴の入り口から顔をだしたとたん、その窓のカ匹螭恕ⅳ盲辘趣Δ膜筏坤丹欷郡韦稀ⅳⅳⅰⅳ胜螭茹y仮面の影ではないか。
「アッ、銀仮面?」
金田一耕助が息をのんだせつな、銀仮面の持っているピストルが、ズドンと火を噴いたかと思うと、
「人殺しだア、助けてえ!」
と、叫ぶ声とともに電燈が消えて、窓はまっ暗になった。あとは墓場のしずけさである。
ああ、それにしてもこれはだれの家だろうか。そして、救いを呼ぶ声はいった
小说推荐
- the underground city-地下城(英文版)
- 手机访问 m╮欢迎光临︱田︱田田╬版 权 归 原 作 者【功夫英雄qq】整理附】内容版权归作者所有!The Underground Cityby Jules VerneORThe Black Indies(Sometimes Called The Child of the Cavern)CHAPTE
- 最新章:地下城(英文版)-第41章
- 赌注(日文版)
- ﹏ 手机访问 m╮欢迎光临︱田︱田田╬版 权 归 原 作 者【duansh1204】整理本作品来自互联网,本人不做任何负责!内容版权归作者、出版社所有╮賭け(一 四月、高校に入学してそろそろ一ヶ月が経とうとするある日の放課後。貴彦は学校の側にある川沿いの道を歩いていた。桜並木が続く 北国では桜の開花
- 最新章:第4章
- 短篇集(日文版)
- ╮欢迎光临︱田︱田田╬版 权 归 原 作 者论坛整理制作 手机访问 m.本作品来自互联网,版权归作者所有◆地獄変芥川龍之介 一 堀川の大殿様(おほとのさま)のやうな方は、これまでは固(もと)より、後の世には恐らく二人とはいらつしやいますまい。噂に聞きますと、あの方の御誕生になる前には、大威徳明王(だ
- 最新章:第10章
- 好き≠恋(日文版)
- 手机访问 m╮欢迎光临︱田︱田田╬版 权 归 原 作 者【duansh1204】整理附】内容版权归作者所有!佐倉健人の場合 1 春風に吹かれながら、歩き慣れた通学路を歩く。桜の花はすでに散ってしまい、木々には緑色の葉が生い茂っている。新学期が始まってもう2週間が経った。新しいクラスになじむと言うより
- 最新章:第42章
- 日光微暖爱倾城(出书版)
- 日光微暖爱倾城(网络名:谁说我不爱你)作者:清幽淡雅11、No,I’m mango.英伦的天气向来是季湉湉最厌恶的一种,变幻无常诡异莫测,刚出门还是阳光明媚风和日丽,一转身既是闪电雷鸣、大雨倾盆。出门必带雨伞是英国人的日常习惯,可这对于懒人季湉湉来说却是个极大的折磨。以前在国内时,季湉湉就被好姐妹称
- 最新章:第49章
- 曾国藩的正面与侧面(公务员版)
- 作者:张宏杰】自序 曾国藩的成功与失败一曾国藩做官非常成功。他从一介书生起家,创建军队,统率群雄,挽狂澜于既倒,扶大厦之将倾。他善于进退,在剿灭太平军之后,功名事业如日中天,这时他却能极度冷静,在大盛之中察觉大衰的先机,毅然上疏辞去节制四省的大权,并采取果断手段,裁撤自己的权力之本—湘军。他一生出将
- 最新章:第61章
- 曾国藩的正面与侧面(青少年版)
- 作者:张宏杰】自序 向曾国藩学什么一对许多读者来说,曾国藩对他们的榜样作用主要体现在意志力的磨炼上。前几天在一个电视台做节目,聊曾国藩。说起曾国藩如何自我完善,脱胎换骨,一位嘉宾说,现在不要再提倡什么“自我磨砺”了,多累啊。人活着,要顺着自己的本性,怎么快乐怎么来,不要成天那么“拧巴”着。这是现在越
- 最新章:第49章
- 千面倾城裙下神 作者:百里砂(红袖添香vip2014-09-14正文完结)
- :附【本作品来自互联网,本人不做任何负责】内容版权归作者所有|欢迎大家[千面倾城裙下神 百里砂 著]书籍介绍:第一次来晚了,妖美男度劫完毕半死不活…某公主大为不爽,果断把他卖掉,赚小钱继续贿赂度厄神君…第二次来早了,等半天不见有妖度劫,于是喝了点儿小酒,醒来居然被卖,仔细想想梦里那张俊脸有点眼熟…第
- 最新章:09-14正文完结)-第217章
- Java编程思想第4版[中文版](PDF格式)
- -Page 1-Page 2《Thinking In Java》中文版作者:Bruce Eckel主页:http/BruceEckel.编译:Trans Bot主页:http/memberease~transbot致谢-献给那些直到现在仍在孜孜不倦创造下一代计算机语言的人们!指导您利用万维网的语言进
- 最新章:第295章